2015年1月6日火曜日

演奏の本音の感想を知る術

コンサートが終わって、お客様と歓談している中で聞こえて来る賞賛の感想ほど当てにならないものはありません。(でもお客様のお心遣いには感謝しているのですv(^_^v)♪)
最も的確で辛辣な感想を抱いたお客様が終演後、演奏者本人にその感想を伝えに来ることは殆ど無いからです。

自分が最も信頼できる耳を持ったお客様の感想は後日、演奏者本人から電話などで積極的に求める姿勢が大切です。演奏者が終演後、笑顔でお客様をお見送りしている中で批判めいた本音の感想を伝える事はスマートでなく、場の雰囲気を壊すだけだということを誰もが知っています。当たり前の事ですが演奏会の場ではそういった空気は歓迎されないのです。

演奏家は経験を積むに従い、本音の意見を聞こうとする姿勢を次第に失っていき、賞賛の声だけに耳を傾ける傾向が強くなっていきます。その結果は客観的に自分の演奏を聴く術を失った事に等しく、演奏上の欠点を発見したり、向上出来る可能性を自ら閉ざしてしまう事に繋がり、良いことは何一つありません。

私は50歳まで後2年ですが、残念な事に歌を教え始めてから、人から意見される事が殆ど無くなってしまいました。辛辣な意見は例えそれが専門的な見地から見て的外れなものであっても、素直に耳を傾けるべきです。そういった人は良い演奏が出来た時、誰よりも純粋な表現の仕方で喜んでくれ、それが演奏家にとって大きな自信に繋がっていくからです。

信頼できる耳を持った、本音を言ってくれる人は常に孤高の存在です。
そうでなければ捉え方の誤解で人を傷つけてしまった場合、次回からは本音が言えなくなってしまいます。

コンサートの終演後、そそくさと足早に会場を去ろうとしている方を捕まえて一言お礼を言ってみましょう。帰りの電車やトイレが心配でなければ、その方の一言はその日の演奏を真に物語るものであるか、熟睡していたため裏覚えの記憶であるかのどちらかである筈です。

http://tamadeseigaku.com

0 件のコメント:

コメントを投稿