2014年11月5日水曜日

フリードリヒ2世の実験

13世紀の初めにローマ帝国皇帝でフリードリヒ2世という人物がいたそうだ。言葉を教わらないで、子供がどんな言葉を話すのか興味を持ち、ある実験を行った。乳母と看護師にミルクや排泄など必要な事は通常の条件にした上で、子供の面倒を見る際、目を見てはいけない、笑いかけてもいけない、話しかけてもいけない、触れ合いを一斉してはいけないと命じた。十分なミルクを与えられていても、愛情をもらえなかった赤ちゃんたちは全員死んでしまう結果になったという。

心理学者のルネ・スピッツが、戦争で孤児になってしまった乳児55人に、同じような実験を行った結果、27人が2年以内に死亡、17人が成人前に死んでしまい、11人は成人後も生き続けたが、その多くには知的障害や情緒障害が認められたということだ。
原因について述べるのは、ここでは割愛するが、身体の成長に伴う、言葉の発達はこのように生命の存続に密接に関わっていることが理解出来る。

歌うことに適した発声器官の理想的な働きは、赤ちゃんが言葉を覚えるにつれて次第に失われていくが、人間が言葉を話す発達によって人間らしい情緒、病気に対する免疫力や抵抗力を身に付けていくと考えれば、今、成人になった我々が発声方法を教えたり、分析することが、いかに神秘的な領域なのかを実感せずにはいられない。

発声を理論だけで解明しようとしても永遠に答えが出ない気がするのは私だけだろうか?
http://belcanto.jpn.com

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