2015年1月30日金曜日

頭と胴体の前後関係

息が上手く吸えても、その息が声と結び付けられている実感を持てる人は大変少ないと思います。
この実感を持てない人に共通しているのは、「発音する」という意識が「響かせる」という意識を上回っている事です。但し、この事を短時間で克服するのは不可能です。
正しい頭声の響きをマスターするには正しいテクニックは勿論ですが、「自分に聴こえる声の価値観」を根本的に変える必要があり、この理解にも非常に時間を要するからです。このことに関してはレッスンで学んで頂く以外ありません。

もうひとつ息と響きを結び付けるために重要で、しかも簡単に実行出来る事があります。
"胴体に乗っている頭の前後関係を調節する" ということです。
この位置関係により、自分では気が付かない『息の通り道』が確保され、息が響きを作ることに結び付いている感覚を実感出来る場合があります。
姿勢が猫背になっていたり、顎を引き過ぎていると気道を始めとする息の通り道が遮断され、軽く明るい響きにならないのです。

試しに楽譜を見る角度や指導者を見る角度に気を付けてみて下さい。
可愛くて若い女性やイケメンの指導者の前で自分を良く見せようと思うあまり、必要以上に胸を張っていたり、見惚れてしまい顎が前に出るような格好で歌っていないでしょうか?

残念ながら私の生徒さんには一人としてそのような格好で歌っている人がいません。(-。-;

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2015年1月27日火曜日

重力は声に影響を与えるか?

歌う時、音取りをしている時、どのような姿勢をとると楽でしょうか?
人によって感覚は様々ですが、殆どの人は良い姿勢で立った状態が歌い易いと感じるでしょう。

声楽の呼吸法は決して特別なものではありませんが、何かを意識的に考えたり、緊張していると睡眠時に行っているような自然な呼吸は行えません。
立って歌っている時も、横になっている睡眠時も身体が一直線に伸びた状態である事に変わりはありませんが、重力に対して横隔膜の動きが影響を受けるか受けないかという点で大きな違いがあります。

お腹の前を硬くしてしまったり、横隔膜を真下に押し付けてしまい、自然な呼吸を妨げてしまうもう一つの原因としてこの重力の影響があります。横になって呼吸してみると立っている時より横隔膜がスムーズに動いているのを実感できる筈です。

特殊な器具を使い、足を固定した状態で逆さまにされると、重力によって頭の方向へ上がって来た横隔膜自体の重みを感じることが出来るので、その力に反した横隔膜を元の位置にリフトアップして戻す吸気力が必要になります。
実際に立って歌う時、『横隔膜を下げる為』にこれとほぼ同じ力を与えている人は皆お腹を固くしてしまう為、スムーズな腹式呼吸が出来ないのです。

初心者が自然な腹式呼吸を身に付ける際、吸い方などを意識的に行おうとするのは禁物です。
最も自然で間違えの無い感覚は、肺に残された全ての息を吐き切り、脱力した瞬間に自分の体が教えてくれます。

自然な流れに逆って酸欠にならないよう、くれぐれもご注意頂くようお願い致します m(._.)m

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2015年1月22日木曜日

腹式呼吸が出来ない人は存在しない

うたうことを学ぶ会「幸せになるための声」の第一回目のグループレッスンを行いました。テーマは    『意識しないで息を支える腹式呼吸法』

50から70代の参加者に「睡眠時には誰でも行っている呼吸法なので、特別な意識や力は加えないで下さいm(._.)m 」と前置きはしたのですが、皆さん思うようには出来ません。

寝ている時は誰でも出来ている事が、何故歌う時には出来なくなるのでしょうか?
その理由を見つけるために睡眠時の環境を思い返してみて下さい。

①誰にも気を使わないでリラックスしている
②目を閉じているので誰の視線も感じない
③何も考えていない

椅子に座ったまま無理な姿勢のまま寝ていても、電車のつり革につかまったまま寝ていても睡眠時には腹式呼吸は完璧に機能しているのです。
逆に人の目を気にしたり、正しい姿勢や横隔膜への力の加え方などを意識してしまうと、かえって自然な呼吸バランスは妨げられてしまいます。一流の歌手は踊りながらでも腕立て伏せをしながらでもアリアを歌う事が出来、歌う時の姿勢に声が殆ど影響されません。

「先生!!息の仕方が分かりません !!(((o(*゚▽゚*)o)))」 と切迫感溢れる表情で懇願される事が時々ありますが、私はこう答えるようにしています

「寝る方法を教えてくれた先生に相談してみて下さい」

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うたうことを学ぶ会 ”幸せになるための声” 発足のお知らせ

わたくし宗像が講師を務める声楽教室の教室名として使用しておりました ”幸せになるための声” は近日 うたうことを学ぶ会 として独立させ、それに伴い、現在のホームページも会の紹介を中心にしたものに変更していくことに致しました。声楽教室専用のホームページは近日中に別にアップさせて頂きます。


新しいホームページ名は「宗像声楽教室」となり、今よりコンパクト化された内容になります。メソードについての詳しい内容をお知りになりたい方は、今迄通り「幸せになるための声」をご参照頂ければと思います。


うたうことを学ぶ会 ”幸せになるための声” は「歌った後に喉が疲れる」、「高い音が出ない」といった基本的な声の悩みをお持ちの方々を対象にした、声楽の基本的なテクニックを学ぶためのグループレッスンの会です。
私の個人レッスンでは通常12回でおおよその基礎を身に付けて頂いておりますが、当会のレッスンではおおよそ3倍の回数をかけて同じレベルに達することを目標にします
「個人レッスンは敷居が高すぎる」、「一人ではなく、みんなで楽しく学びたい」という方々が週に一回集まり、発声について真剣に学んでいらっしゃいます。ご興味のある方はホームページのアクセス・コンタクトよりお申し込み下さい。

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2015年1月6日火曜日

演奏の本音の感想を知る術

コンサートが終わって、お客様と歓談している中で聞こえて来る賞賛の感想ほど当てにならないものはありません。(でもお客様のお心遣いには感謝しているのですv(^_^v)♪)
最も的確で辛辣な感想を抱いたお客様が終演後、演奏者本人にその感想を伝えに来ることは殆ど無いからです。

自分が最も信頼できる耳を持ったお客様の感想は後日、演奏者本人から電話などで積極的に求める姿勢が大切です。演奏者が終演後、笑顔でお客様をお見送りしている中で批判めいた本音の感想を伝える事はスマートでなく、場の雰囲気を壊すだけだということを誰もが知っています。当たり前の事ですが演奏会の場ではそういった空気は歓迎されないのです。

演奏家は経験を積むに従い、本音の意見を聞こうとする姿勢を次第に失っていき、賞賛の声だけに耳を傾ける傾向が強くなっていきます。その結果は客観的に自分の演奏を聴く術を失った事に等しく、演奏上の欠点を発見したり、向上出来る可能性を自ら閉ざしてしまう事に繋がり、良いことは何一つありません。

私は50歳まで後2年ですが、残念な事に歌を教え始めてから、人から意見される事が殆ど無くなってしまいました。辛辣な意見は例えそれが専門的な見地から見て的外れなものであっても、素直に耳を傾けるべきです。そういった人は良い演奏が出来た時、誰よりも純粋な表現の仕方で喜んでくれ、それが演奏家にとって大きな自信に繋がっていくからです。

信頼できる耳を持った、本音を言ってくれる人は常に孤高の存在です。
そうでなければ捉え方の誤解で人を傷つけてしまった場合、次回からは本音が言えなくなってしまいます。

コンサートの終演後、そそくさと足早に会場を去ろうとしている方を捕まえて一言お礼を言ってみましょう。帰りの電車やトイレが心配でなければ、その方の一言はその日の演奏を真に物語るものであるか、熟睡していたため裏覚えの記憶であるかのどちらかである筈です。

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新年明けましておめでとうございます

新年明けましておめでとうございます。
ホームページとブログを開設して半年が経過し、稚拙な文章力に恥ずかしさを覚えながらも毎回テーマを考えていく事で自分が今まで考えていたこと、頭で混乱していたことが次第に紐解け、整理されていく事に心地良さを感じられるようになって参りました。
今後共、当サイトにお立ち寄り頂きますよう、宜しくお願い申し上げます。