2014年7月16日水曜日

自分を信じる事の難しさ

八王子でのソロコンサート本番まで残すところ2週間となった。毎度の事だが、本番が近づくと一時的に発声の調子を崩す事がある。対処の仕方は全て、今までの苦い経験によって、理解しているので、問題無く元の状態に戻すことが出来たが、1年前の自分なら対応策が浮かばず、この時点でパニックになっていたかもしれない。

少しでも本番までに完成度を上げたいと思うのは、演奏家が持つべき当然の意識だと思うが、自分の場合、この意識が皮肉にも裏目に出ることが多かった。
声楽家にとって本番前の調整は実に難しく、ピアニストのように本番に備えて丸一日鍵盤に向かい合って、完成度を高めて行くような練習法を取り入れても、かえって声の調子を崩してしまい、本番で実を結ぶことは極めて少ない。

発声に少しでも違和感を感じた時は、直ちに声を出すのをやめて、トレーニングウェアに着替え、景観の良い近所の遊歩道をジョギングし、程よく汗をかいたところで、冷水を張った浴槽に飛び込み、よく冷えたビールで喉を潤す事にしている。ビールのCMではないが、『至福』と実感できる瞬間であり、リラックスした精神状態で練習の録音を聴いてみると、上手く声が出せなかった原因がはっきりと見えてくる。
『自分を信じて歌う』という理想の状態は自分の場合、流した汗の先に常に存在している。

0 件のコメント:

コメントを投稿